WEDGE REPORT

2019年7月12日

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黒井克行 (くろい・かつゆき)

ノンフィクション作家

1958年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家。人物ドキュメントやスポーツ全般にわたって執筆活動を展開。主な著書に『テンカウント』(幻冬舎文庫)、『男の引き際』(新潮新書)、『高橋尚子 夢はきっとかなう』(学研)、『日野原新老人野球団』(幻冬舎)、『指導者の条件』(新潮新書)、『ふるさと創生―北海道上士幌町のキセキ』(木楽舎)他多数。

 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと1年余り。今、世間はそのチケットの抽選をめぐる話題で持ちきりだ。

 4年に一度の、しかも前回の日本開催が56年も前なわけで、この先地元でオリンピックを生で観戦しようと思えば果してそれまで生きているのかはあやしく、だからこそ“千載一遇”のチャンスをと、チケット争奪戦がヒートアップする。無理もないことだ。

 実は、たとえオリンピックの競技会場に入場できなくても十二分にスポーツの醍醐味を楽しめるテクノロジーの開発が進んでいる。実用化も見え始めており、オリンピックを楽しもうと思えば、チケットだけに眼の色を変えずに済みそうなのだ。

卓球選手のプレーをまるごと抽出し、離れた場所でも目の前にいるかのような臨場感を体験できる

 NTTは超高臨場感通信技術をはじめとして、動くディスプレイロボットや音や触覚など視覚に頼らないインクルーシブな体感など、同社が持つ最先端技術を活用したスポーツ観戦の再創造に取り組んでいる。

 「スポーツには従来の映像では捉えきれないダイナミズムがあり、スタジアムに立つアスリートにしか知りえない感覚がある。競技や試合、観る人によってもそれぞれ異なる魅力があり、それらの多様な現実を四角い映像の枠を超えて伝えることができたら」

 このような未知なるスポーツ観戦の可能性を見据えてチャレンジを続けているのだ。

 たとえば、その一つがリアルタイムに選手映像を切り出す“被写体抽出技術”だ。

 実際に試合をしている選手を背景映像や音響など空間をまるごと抽出して転送することで、離れた場所にいてもあたかも目の前で選手がプレーしているかの高い臨場感を体験できるのである。実際に卓球を材料に試してみたが、これならば確かに会場の隅っこから豆粒の選手やその動きを生で観戦しているという自己満足よりも、リアルに楽しめて臨場感も味わうことができる。

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