2024年4月18日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2019年7月12日

 やや紙幅を要してしまったが、安倍首相はトランプ大統領の手法に倣うのではなく、周辺諸国との関係を注視せよ。さもなくば最終的に被害を受けるのは日本だ、という主張になる。

華人メディアのこのような主張が華人社会に浸透していく

 日本に対して韓国が示してきた度重なる理不尽な対応に就いて言及していない点が気になるが、今回の韓国に対する安倍政権の措置に関する『世界日報』の主張は主張として心得ておく必要がある。なぜなら、華人メディアのこのような主張が華人社会に浸透していくことになるからだ。たとえ、それが日本の立場からするなら事実を曲げたものであったとしても、である。

 好むと好まざるにかかわらず、中国の“熱帯への進軍”は今後とも進み、東南アジアにおける中国の存在感は高まり、中国と華人社会はきめ細かな結びつきを増すはずだ。共産党政権による華人社会への工作は巧妙化することだろう。

 今や米中関係に象徴されるように国際情勢は混迷の度を増し、中国式に表現するなら渾沌という「新常態」が地球大に拡大している以上、日本と韓国による2国間関係ではあったとしても利害が複雑に錯綜する国際関係に組み込まれる。

 日本に対するマイナス・イメージが華人メディアを通じて拡大するなら、東南アジアにおける日本の活動の足枷になる。国際社会に向けて日本の正当性を訴える一環として、東南アジアのおける華人メディアの動向を注視する必要があるはずだ。

  
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