2024年4月26日(金)

家電口論

2019年7月20日

低価格帯家電のユーザー獲得方法

 しかし、日本メーカーだとこうはいきません。ユーザーの望みを全部かなわせるため、まず、ありとあらゆる機能を盛り込むでしょう。

 電気やかんだからと、シンプル設計にするにしても、倒してもこぼれないなどの安全システムを組み込むでしょう。

 そうするとだんだんやかんから離れていきます。そう、元々の形がかなり歪になる可能性が出てくるのです。しかも価格も高くなります。ユーザーの声を反映したのに、ユーザーがドン引きという状態になります。これは日本メーカーにありがちな話です。

 その点、「+1機種」という考えは実にうまい。やかんですから、+1機能あれば、「スゴい!」となります。しかも、多方向のユーザーをカバーできます。

ティファールのモノ作りの原点は、「鍋」からか?

 なぜ、ティファールがこのようなラインナップ展開をしているのかというと、ユーザーの要望に応えてきたと言うのが答えですが、もともと「鍋」が原点だったことが大きいと思います。皆さんもよくご存じの通り、フッ素加工でこびり付かない鍋がティファールの原点です。

 この焦げ付かない鍋のブレイクは1961年。アメリカのジャックリーン・ケネディ(JFKのお嫁さん。ファースト・レディ。)が、ティファールのフライパンを買ったのがtvで流れたためだそうです。それまで、7500個/週だったのが、100万個/月。桁が違いすぎてよくわからない状態です。

 以降「取手の取れ、収納しやすい」「フライパンが温まったことが分かり、調理しやすい」。スゴイ機能ですが、鍋ですから、価格はある程度の価格でお願いしたいモノです。ティファールは、この当たりをきっちり把握しており、それなりの値段、値頃感がある価格で売っています。

 では、機能以外、魅力がないかというとそうではありません。あります。デザインです。フランス人はかなりケチだそうです。しかし、自分の生活にはこだわります。このため、デザインを工夫します。形だったり、色だったり。ティファールの鍋はそんな感じです。これは唐物(からもの)、舶来品を好む日本人にとって大きな魅力でもあります。

 電気ケトルは、この鍋に似ています。ティファール水平型のラインナップは、その結果だと思います。


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