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2019年7月15日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

安全保障を揺るがす

 日本政府は不正輸出疑惑について、「報道は承知しているが、お答えすることは事案の性質上、避けたい」(野上浩太郎官房副長官、7月11日会見)と実質的に認めるかのようなコメントをしている。今後、不正輸出の実態について先方に照会していくというが、これを通じて、物資の最終目的国がどこだったのかなど、日本の懸念事項、疑念に対する十分な回答を得られるか。   

 韓国産業通商資源省の当局者は7月11日、韓国の輸出管理制度の実効性について疑問を提起した国は日本しかいないーと指摘。世界で最も強力な輸出管理制度を運用する米国でも不正輸出が多いことに言及、「米国の制度を批判するのと同じだ」と反論した(7月12日づけ産経新聞)。自分が批判されている問題とは何の関係もない米国を引き合いに出し、議論をそらそうとするのは噴飯ものといわざるをえない。 

 韓国はすでに7月9日の世界貿易機関(WTO)の物品貿易理事会で、「自由貿易の原則からはずれている」と日本を批判、強い態度で即時撤回を要求。国連安全保障理事会の専門家委員会に調査を要請する構えも見せているが、今後はむしろ守勢に立たされ、説明を求められることになろう。

 7月12日に経済産業省で行われた双方の事務レベル4会合は延々5時間に及んだが、双方の主張は折り合わなかった。韓国の態度も堅かったようだ。

 今回の事態は、日本だけでなく米国の安全保障にも影響を与える由々しき問題だろう。米国は、児戯に等しい告げ口外交などは相手にしないだろうが、核開発をめぐって北朝鮮と駆け引きを展開しているさなかだけに、そうした視点から、韓国に強い態度で説明を求めてくる可能性がある。韓国には、米国に仲介要請などしている暇はない。日米への明確、誠実な説明に専念すべきだろう。

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