2024年4月24日(水)

中年留学日記

2012年2月1日

 特にいま進行中の共和党の大統領予備選挙のプロセスでは、候補者が夫人や家族とともに頻繁にメディアに登場し、自身の訴える政策に加えて家族のことも多く話題にする。

 夫人は候補者とほとんど同じぐらいの頻度でいろいろなところに引っ張り出される。演説のときには脇に寄り添い、きめ台詞のときには深く頷いたり、ジョークのときには笑顔を作ったりするので、候補者と一体になって存在がクローズアップされる。

 大統領候補は家庭でも良い夫であり、強く頼れる父親という男性像が求められるため、候補者は選挙戦で自分がいかに家庭を大切にしているかを訴える。たとえば共和党の有力候補の1人で元マサチューセッツ州知事のロムニー氏は夫人との家庭生活について「私は1人の女性を42年間愛し、ともにいる」と演説などで繰り返し訴える。

離婚暦はマイナス評価の米選挙戦

 これはライバル候補の元下院議長のギングリッチ氏が過去2度も離婚を経験し、3人目となる20歳ほど年下の夫人と不倫の末に結婚したという経緯があるため、あてこすっているのだ。

 大統領選の候補者の中でギングリッチ氏のプライベートの経歴は確かに異色で、他の候補が夫婦円満、家族一体を強調すればするほど、ギングリッチ氏との比較につながる。それをおおい隠そうとギングリッチ氏もいろいろな場面で夫人との仲睦まじさを、ことさら強調している。

カップル社会のアメリカでは、大統領候補者の夫人も各種メディアへの露出が多く、選挙戦に重要な役割を果たしている

 
米国では過去に離婚経験がある人物が大統領になれたのは、最近ではレーガン元大統領しかいない。もちろん日本もそうなのだろうが、過去には就任直後に女性問題で退陣した首相もいた。

 日本で国会議員や首相候補にここまで清廉な女性遍歴が求められるかと問われれば、アメリカの方が明らかに厳しいといえる。大統領に「良い夫」「良い父親」たる模範的な男性像を求めるアメリカの社会は、大統領候補者のみならず、多くの一般の男性にとってもタフな社会であるのかもしれない。


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