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2019年7月26日

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欧州連合(EU)でブレグジット(イギリスのEU離脱)の首席交渉官を務めるミシェル・バルニエ氏は25日、ボリス・ジョンソン新英首相のEU離脱政策は受け入れられないと話した。

ジョンソン首相は25日の下院で初めて演説し、棚上げになっているEU離脱協定に含まれるアイルランド国境をめぐるバックストップ条項を「排除する」と話した。

これに対しバルニエ首席交渉官は、バックストップによる国境の保証を取り除くのは受け入れられないと述べた。

ジョンソン氏はまた、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長とも電話で会談した。

ユンケル委員長は、テリーザ・メイ前首相がEUとまとめた離脱協定が最善の案だというEUの姿勢をあらためて示した。一方、イギリス側が何らかの協議を必要とするならば、欧州委には応じる用意があると話した。

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イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だったが、英下院が離脱協定を3度にわたって否決したため、10月31日まで延期となった。

議論の焦点となったバックストップとは、通商協定がまとまらない場合に北アイルランドとアイルランドの国境に厳格な検問所等を設置しないための措置。しかし、バックストップに基づくと北アイルランドはブレグジット後もEU単一市場の一部ルールに従うことになる。このため、ブレグジット後もイギリスがなおEU法に縛られることになると、英政界の離脱推進派から不満が噴出した。

バックストップをめぐってはさらに、イギリスが離脱するためにはEUの同意が必要となるため、実質的にはバックストップ状態が恒久化してしまうのではとの懸念が離脱派から出ていた。

ジョンソン氏は下院演説で、EUとの合意のあるなしに関わらず10月31日に離脱するという自らの方針をあらためて示した。

バックストップについては、「独立と自尊心を重んじる国が、経済的独立と自治を手放すことになるバックストップのような協定に合意するなどありえない」と強調した。

議員からの質問に答える形で新首相はさらに、バックストップは「分裂を生み」、「反民主主義的」だと述べ、EUとの取り決めから取り除くつもりだと表明した。

「(バックストップは)自分たちの貿易や規則について決定権を失う、そうでなければイギリス政府の降伏を意味するひどい選択肢を、イギリス政府とイギリス国民、そして連合王国につきつける」

EU側の反応は?

ジョンソン氏の演説の後、バルニエ首席交渉官はEU各国の首脳に覚書を送り、EUとしてバックストップの除外は「もちろん受け入れられない」もので、ジョンソン氏の演説は「やや好戦的だった」と書いた。

一方で、バックストップをめぐる不和はあるものの、EUは「得ている信任の範囲内で建設的に働き」、「イギリスが提示してくる、既存の離脱協定と互換性のある案」を分析する用意があるとしている。

合意なしブレグジットの可能性については、「EU側は望んでいない選択肢」だが、「ジョンソン氏が『合意なし』をめぐる計画を優先し、EU加盟27カ国の一致に圧力を掛け続けるような状況には準備しなくてはならない」と話した。

「どんな場合でも我々は冷静さを保ち、信念とガイドラインを貫き、27カ国の一致を見せることが重要だ」

また、自分自身については「夏の間はイギリスとの協議に応じる用意がある」と述べた。

イギリスの首相官邸はバルニエ氏の発言に直接反応していないが、ジョンソン首相の報道官は、首相は協定締結に「意欲的だ」と語った。

一方、メイ首相の離脱協定は下院議員によって「3度にわたって否決され」ており、「議員が受け入れないことは明らかだ」と話した。

アイルランドのリオ・バラッカー首相はこの件について、「バックストップがなければ離脱協定も、離脱後の移行期間や履行期間もなく、国境問題が解決するまでは自由貿易もないだろう」と語っている。

(英語記事 EU officials reject Johnson's Brexit policy

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49123645

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