2024年4月25日(木)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年7月30日

トランプの「座右の銘」?

 以前、バラク・オバマ前米大統領はシリアのアサド政権が化学兵器を使用してレッドライン(超えてはならない一線)を超えたにもかかわらず、同国への軍事攻撃に踏み切りませんでした。その結果、「弱い指導者」とレッテルを貼られました。

 イラン攻撃を中止したトランプ大統領は、オバマ前大統領と同じ扱いを受けて「弱腰」と見られるのを回避するために、即座に最高指導者ハメネイ師に経済制裁を科し、「強い指導者」のイメージを維持しました。しかも、「イランよ、聞いているなら気をつけろ」と述べて、恐怖心を煽り、脅迫ともとれるメッセージも発信しました。いわゆる「ダメージ・コントロール」を行い、自分の「心の弱さ」を隠すことに成功しました。

 トランプ大統領は「本当のパワーは恐怖だ」と、まるで座右の銘のように語ります。「恐怖が人を動かす原動力である」と信じでいるフシがあります。恐怖とアイデンティティを活用したからこそ、支持率を2年半も安定させることができたのでしょう。

 いずれにしても、トランプ大統領の言動は心の弱さの裏返しと言えるかもしれません。

  
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