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2019年8月2日

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ドナルド・トランプ米大統領は1日、9月1日に中国からの輸入品3000億ドル分(約32兆円)を対象とする追加関税を発動するとツイッターで表明した。両国の貿易戦争がさらに悪化することになる。スマートフォンから衣類までほぼ全ての輸入品に、10%の関税を上乗せする方針。

米中両国は7月30~31日にかけて中国・上海で高官級の通商協議を開いていたが、アメリカ側が期待した進展が得られず、今回の追加関税発表につながった。

トランプ氏はツイッターで、追加関税を表明すると共に、米農産品の輸入拡大という約束を守らなかったと批判した。また、 アメリカで乱用が問題視されている医療用麻薬「フェンタニル」について「友人の習近平国家主席が、中国からアメリカへの販売をやめさせると言ったのに、実現しなかった。おかげで大勢のアメリカ人が死に続けている!」とツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1156979445565202433?s=20


その上でトランプ氏は、「通商協議は続いており、その最中にアメリカは9月1日から、中国からこの国に入ってくるモノ・商品の残り3000億ドル分に10%というわずかな追加関税をかける。すでに25%の関税対象になっている2500億ドル分はこれに含まれない」と続けて書いた。

この後、トランプ氏は報道陣に対して、税率10%は当面の措置で、いずれ段階的に25%以上へと引き上げる可能性もあると述べた。

「中国については、もっとずっと前に誰かがこうするべきだったんだ」と、トランプ氏は述べた。

これまでの反応は

上海での協議についてこれまで米中政府は「建設的」だったと評価し、9月にも次回ラウンドを予定していただけに、トランプ氏の発表に金融市場は動揺した。

ニューヨークの米株式市場では売りがふくらみ、ダウ平均株価(30種)は前日比280ドル85セント(1.0%)安で終えた。原油も急落し、ニューヨーク市場の原油先物価格(期近物)は前日比7.9%安となった。ドル安と円高が急速に進み、アジア市場も日経平均株価が前日比300円を超す大幅安で始まるなど、ほぼ全面安となっている。

米企業300万社以上を代表する米商工会議所は、中国への最新追加関税は「アメリカの企業、農家、労働者、消費者により一層の苦しみを与えるだけで、これがなければ力強いはずのアメリカ経済を損なってしまう」と反発。米中両政府に、全関税の撤廃を呼びかけた。

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アメリカ国内では、トランプ政権の対中関税政策は中国よりもアメリカ経済を傷つけているという懸念が高まっている。

1日には、昨年春までトランプ政権の国家経済会議議長だったギャリー・コーン氏がBBCの取材に応じ、関税戦争はアメリカの製造業や投資に「劇的な影響」を与えていると述べた。

米中関係の悪化から、中央銀行に当たる米連邦準備理事会(FRB)は7月31日、フェデラルファンド金利の誘導目標を0.25%引き下げ、年2~2.25%にすると発表した。利下げは2008年以降で初めてとなる。

ジェローム・パウエルFRB議長は、FRBは政府の通商政策を批判する立場にないものの、通商関係悪化による緊張は5月から6月の間に「沸騰寸前だった」と異例の発言をした。

なぜこうなった

中国とアメリカはトランプ政権発足当初から、貿易を巡って激しく対立を続けている。

2016年大統領選の最中には、トランプ氏はしきりに中国の貿易慣習は不公平で知的財産権の侵害を繰り返していると非難していた。

トランプ氏はさらに、アメリカの対中貿易赤字が米製造業を傷めつけているとして、赤字削減を目指している。

過去1年余りの間に両政府とも、数十億ドル規模の関税を互いの輸入品に課している。

通商協議を重ねてはいるものの、二大経済大国は貿易戦争の終結に向けて合意に至ることができず、金融市場をふくむ世界経済に暗い影を落としている。

(英語記事 Trump escalates trade war with more China tariffs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49201932

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