前向きに読み解く経済の裏側

2019年8月12日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

円高でも円安でも日本経済は酷い目に遭う?

 円高になると、輸出企業は「円高で苦しい。ボーナスは我慢してくれ。下請け企業は値引きに応じてくれ。政府は支援してくれ」と大声を出します。一方で輸入企業(輸入原材料を大量に使う企業)はコスト低下で儲かりますが、黙っています。うっかり儲かったと発言すると、労組が賃上げを、下請けメーカーが値上げを要求して来ますから。

 そこで、聞こえてくる声だけを頼りにしていると、円高で日本経済は打撃を受けているように思えます。

 そして時が移り、円安になると、今度はコストが増えた輸入企業が大声を出し、輸出企業は儲かっているので黙ります。そこで、聞こえてくる声だけを頼りにしていると、円安でも日本経済は打撃を受けているように思えます。

 実際には、日本は輸出と輸入が概ね同額ですから、円高でも円安でも経済への影響はそれほど大きくないはずなのですが、聞こえてくる声だけからは、そうは思えないのです。

 輸出企業の声が聞こえて来たら、輸入企業のことに思いを馳せる事が必要なのですね。言うは易く、行うは難し、ですが。

 本稿は、以上です。

  
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