中東を読み解く

2019年8月13日

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激しさを増す情報工作員の活動

 このため、こうした極秘情報を探る米国のスパイと見られる活動も活発化。ザンギャネ・イラン石油相がイランのメディアに明らかにしたところによると、石油省には1日平均10人のバイヤーが訪れるが、そのうちの7人は本物の顧客ではなく、イランの石油売却の仕組みなどを探るためだと指摘、米国の工作員の秘密活動であることを示唆した。

 イランの石油業者の1人によると、米国の代理人と見られる外国人が接触をしてきて、石油省が使っている銀行口座番号を教えるだけで、10万ドルから100万ドルを払うというオファーまであったという。中には、米入国の査証(ビザ)を与えるとの申し出もあった。

 またアルメニア人の売春婦たちがシラーズやイスファハンなど有名な観光地を訪れる企業経営者の観光客に化けて、イランの石油取引業者に接近、アルメニアにフロント企業の銀行口座を開設するよう申し出たという。米国の代理人だった公算が強い。彼女たちはイランの治安機関によって拘束された。

 こうした情報工作員の活動が激しくなるにつれ、業者たちも自衛を余儀なくされ、事務所を2、3カ月ごとに転居したり、盗聴を警戒して固定電話を外したりするなどの対策を講じている。取引で外国に銀行口座を開設する際には、開設している時間を2、3時間に限定して、すぐに閉鎖。取引を探知されないよう工夫もしている。バイヤーとの取引は、スパイでないことを確認するため、必ずテヘランを訪れて、4人の統括官の1人と面談することが求められている。

 イランは7月、米中央情報局(CIA)のスパイ団を摘発し、17人を逮捕したと発表し、トランプ大統領がフェイクだと強く否定したことがあった。この事件の背景には、こうした石油取引をめぐる諜報戦の激化が背景にあるのは間違いないだろいう。

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