Wedge REPORT

2019年8月22日

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 タガメを使ったジン。水生昆虫と飲んで楽しむお酒はなかなかつながりにくいが、これをつなげた「世界初」とも言われる商品が誕生した。昆虫を20年食べ続ける昆虫食スペシャリストで自らを「地球少年」と名乗る篠原祐太氏らが蒸留所と共同でフルーティーな香り漂う品へと開発。国内各地のイベントで提供している。

「世界初」のタガメのジン

 篠原氏が仲間と2019年4月に結成した食材としての昆虫の魅力を追求するチーム「ANTCICADA(アントシカダ)」と、岐阜県の辰巳蒸留所(辰巳祥平代表)が共同で開発。篠原氏らは、主に東南アジアに分布し中国南部やタイで食用とされているタイワンタガメの特徴を生かした商品を考えていた。そこで、繁殖期にオスのフェロモンが洋ナシや青りんごのような香りを出すことに注目する。蒸留によって香りを抽出できるジンにすることにした。

蒸留でフルーティーな香りを出すタイワンタガメ(篠原氏提供)

 素材の味や色、香りといった全てがお酒につく漬け込みではなく、色や味は取り除き洗練された香りのみを取り出す蒸留での作成を採用。辰巳蒸留所が提供する焼酎とタイワンタガメ、ジンに不可欠なジュニパーベリーを絶妙にマッチさせた。アントシカダのメンバーは、タイワンタガメの生息地であるタイへ訪れ、市場で食用のタガメを購入し、処理方法を探求していた。

 篠原氏は1994年生まれで、幼少のころから自然の中で遊ぶのが好きだった。昆虫と触れ合うことで「昆虫を食べる」ことへの魅力に取りつかれていた。「昆虫食歴20年」と言っているから、なんと食べ始めたのは4歳の時。まわりから軽蔑の目で見られることも多かった。

 そんな経験を持つ篠原氏が目標としているのが「食材としての昆虫を掘り下げること」だという。「『意外と美味しいね』と言われるのではだめ。食材や料理として魅力あるものにしていきたい」と話す。テレビ番組などで罰ゲームとして食べられる〝ゲテモノ〟や、世界的に進む食糧難から活路を見出されている「栄養源」として昆虫を見るのではない。「多くの人が『食べたい』と思って選ぶ食材になるように、ポテンシャルを引き出すために研究し続けている」

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