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2019年8月26日

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イアン・ヤングス、娯楽・芸術記者

英マンチェスターで25日、米歌手のアリアナ・グランデさんがコンサートを行った。グランデさんがマンチェスターを訪れたのは、2017年5月にマンチェスター・アリーナでのコンサート直後に会場で起きた自爆攻撃で22人が死亡した事件と、翌6月に行われた被害者のための慈善コンサート以降で初めて。

グランデさんのコンサートは、性的マイノリティーの誇りを掲げる「マンチェスター・プライド」の一環として開催された。会場では、集まった観客がグランデさんの名前を連呼する場面もあった。

2年ぶりとなったグランデさんのマンチェスター公演にあたり、会場の外では武装した警官がパトロールに当たった。

グランデさんはコンサート中、「マンチェスターは私の心の特別な場所を占めている」と語った。

「みなさんに会えてとても嬉しい。呼んでくれてありがとう。ごめんなさい、とても緊張していて。言いたいことがもっとあったのに、今は胸が本当にいっぱいです。ありがとう」

グランデさんは、事件後にリリースした「No Tears Left To Cry」から始まり、35分で9曲を披露。グランデさんにとってもファンにとっても、たくさんの思いがあふれる一夜となった。

「涙と幸せのつまったコンサート」

マンチェスター出身のメイソン・トーマスさん(20)は2017年の事件当日、マンチェスター・アリーナにいた。25日のコンサートには、「涙と幸せがつまっていた」と話した。

「No Tears Left To Cryが始まったとき、彼女(グランデさん)が泣いているように見えて胸が張り裂けそうだった。でも彼女は強い。私たちのために、LGBTコミュニティーのためにここに来てくれた」とトーマスさんは振り返った。

「このコンサートにいて涙を浮かべなかった人はいないと思う。彼女が今夜やったこと、ヘイト(憎悪)は勝てないとはっきり示すのは、マンチェスターにとっても世界にも大きな意味がある」

ウェスト・ヨークシャーから来たモリー・ベージェントさん(20)も事件現場にいた1人。25日のプライド・ライブでは最前列にいた。「(グランデさんには)愛されていると感じてもらいたかった」ため、いつもよりも大きな声で叫んだという。

ベージェントさんにとって、グランデさんのコンサートに行くのはセラピーの一環だった。「戻るのは大変だった」とベージェントさんは話した。

「このコンサートに来て、自分がどう感じるか、不安症をコントロールできるかを試したかった。それができたので、すごく誇らしい」

ボルトンから来たセイディー・スコラ-さん(28)は、グランデさんがマンチェスターに戻ってきたのは「素晴らしく、とても心に響いた」と話した。一方、9曲だけでなくコンサートを丸々やってほしかったと語った。

「彼女が一生懸命パフォーマンスし、それに観客が応える様子を見て(中略)彼女はこの街みんなの娘のようで、ここに戻ってきてくれたのは本当に素晴らしいこと」

「もっと長くコンサートが見たかったけど、戻って来てくれたことが魔法みたいだった」

PTSDとの闘い

グランデさんはこの日、現在行っている世界ツアーのセットリストから数曲を選んだ。一方で、世界ツアーには組み込まれていないにも関わらず、マンチェスター攻撃を象徴する曲となった「One Last Time」を披露した。

グランデさんは、事件後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)をわずらったと話しており、25日のコンサートも現場となったマンチェスター・アリーナは選ばれなかった。代わりに、市街地の使われなくなった電車倉庫を利用した野外会場が使用された。

グランデさんは、マンチェスター・プライドの最終日を飾るコンサートの一番手だった。グランデさんの起用にはクィア・ベイティング(性的指向の曖昧さなどをほのめかして世間の注目を集める手法)だとする批判意見も出ていた。

コンサート中、「Thank U, Next」でグランデさんはダンサーと共にLGBTをあらわす虹色の旗を振り、「ゲイの人たちはいつも私の心の中にいる」と話した。

また、10代の頃にニューヨークで歌を学んでいる時、よくゲイバーで歌わせてもらっていたと明かした。

「私がいつもあなたたちを祝っているのと同じやり方で私を受け入れ、祝ってくれてありがとう」

一方、グランデさんは今年2月、プライド参加のほかにもマンチェスターを訪れる機会があるとツイッターで示唆していたが、新しい発表はなかった。

マンチェスターの自治体は2017年6月、グランデさんを名誉市民にする計画を明らかにしていたが、自治体の報道官は、今回の訪問時にこれに関するセレモニーを行う予定はないと話した。

グランデさんは現在のツアーの一環で、すでにロンドンで3日間の公演を行っている。今後はバーミンガム、グラスゴー、シェフィールドでもコンサートを続け、10月にまたロンドンで2日間の公演を予定している。

(英語記事 Ariana Grande 'overwhelmed' on Manchester return

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49470366

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