2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2019年8月28日

安倍首相の本音は賛成か

 首相は昨年のシャルルボアでのサミット終了時の記者会見で、「経済、安全保障、世界が直面する課題に処方箋を示すにはロシアの建設的関与が必要だ」と述べ、賛成する意向を示唆している。

 首相は2016年5月、伊勢志摩サミットが開かれた際、これに先だって議長国として欧州各国を歴訪、首脳と事前の調整を行ったが、その帰途、ロシアに立ち寄り、プーチン大統領と会談した。サミットの事前打ち合わせのため各国を歴訪、その足で追放されたプーチン氏を訪ねることが各国首脳にどう映ったかはわからないが、少なくとも、首相がクリミア問題については、欧州各国とは異なった見方をしていることを示したといっていい。

 クリミア併合に当たって、日本がとった制裁をみても、ビザ自由化交渉の停止、投資、宇宙、軍事協力に関する交渉の凍結など各国に比べるとほとんど実害を与えない内容だった。

 首相は北方領土問題について最近、国後、択捉断念、歯舞、色丹の2島返還-へと方針を変更したが、この方針転換と相まって、サミットへのロシア復帰に賛成すれば、首相の北方領土問題への取り組み、対ロ政策全体の是非をめぐって議論を呼ぶことになろう。


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