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2019年8月29日

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イギリスのボリス・ジョンソン首相は28日、9月第2週から5週間にわたって議会を閉会すると発表した。

英議会は現在夏休み中で、9月3日に再開される。イギリスは10月31日に欧州連合(EU)離脱を予定しており、9月と10月は離脱をめぐる重要な審議の期間と目されていた。

こうした中でのジョンソン政権による「閉会」発表に、ブレグジット(イギリスのEU離脱)反対派や合意なしブレグジットに反対する与党は、十分な審議の余地を与えない「非民主主義的」な方策だとして反発を強めている。

「議論の時間は十分ある」

また、イギリス各地で抗議デモが開かれており、閉会の取り止めを求める署名にこれまで100万人以上が参加した。

ジョンソン政権は、5週間の閉会後もEU離脱について議論する時間は十分にあるとしている。

ジョンソン首相はかねて、EUとの合意のあるなしに関わらず10月31日にブレグジットを決行すると述べている。

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議会の閉会は通常、会期の初めなどに審議や投票の予定がない場合に行われ、期間も短い。閉会にはエリザベス女王の承認が必要で、女王は28日に今回の閉会を承認した。

これにより、議会は9月9~12日のいずれかの日に閉会となり、10月14日に再開される。議員は閉会を阻止することはできないという。

10月17日には、ブレグジットをめぐる最後のEU首脳会議が予定されている。

ジョンソン首相は議員への書簡で、現在の議会は340日以上にわたって続いており、過去400年で最も長い部類に入ると説明。閉会の必要があると訴えた。

その上で、議会再開の際には「ブレグジットに関する重要な法的プログラム」を用意するとし、政府がEUと「新たな協定を結ぶ機会を」得るため、議会には「一致と決心」をしてほしいと伝えた。

また、マイケル・ゴーヴ内相はBBCの取材で、閉会について、合意なしブレグジットに反対する勢力を妨害する政治的動きでは「もちろんあり得ない」と強調した。

政界の反応は? 米大統領は支持

最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、閉会は議員に法案を審議する十分な時間を与えず、合意なし離脱を強行するもので、「イギリスの民主主義を強奪」していると批判。閉会をやめさせるよう働きかけると約束した。

また、下院のジョン・バーコウ議長が「法に対する侮辱だ」と語ったほか、フィリップ・ハモンド前財務相も「非常に非民主主義的だ」と指摘している。

自由民主党のジョー・スウィンソン党首はBBCのテレビ番組「ニューズナイト」で、ジョンソン首相は「合意なしブレグジットを強行するため、国民に議員を通じて議会で声を上げさせないつもりだ」と述べた。

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、議会の始まる週明けに議員が一致団結してこの計画を止めなければ、「今日という日はイギリスの民主主義の暗い日として歴史に残ってしまうだろう」と語った。

閉会支持の声も

一方、閉会を支持する政治家もいる。

保守党のEU離脱派、ピーター・ボーン議員は、閉会は「まったくもって標準の手続き」だと発言。ブレグジット以降まで閉会すると言わない限りは支持すると話した。

保守党のジェイコブ・リース=モグ下院院内総務も、現在の会期が過去400年で最長の部類に入っていることに言及し、閉会と再開は正しい判断だと述べた。

北アイルランドの民主統一党(DUP)のアーリーン・フォスター党首は閉会を支持した一方、保守党との協力体制は再考する考えを示した。

また、アメリカのドナルド・トランプ大統領はツイッターでジョンソン首相の判断を支持すると表明。首相が「イギリスがまさに求めていることを行っているという事実」をみれば、コービン氏が不信任案を議会で通すのは「非常に難しいだろう」と語った。

ウェストミンスターで抗議デモ

28日夜には議会のあるロンドン・ウェストミンスターに市民が集まり、「クーデターをやめろ」と声を合わせた。ブレグジットに反対するプラカードや、EU旗を掲げるデモ参加者もいた。

議会前で始まったデモはその後、首相官邸のあるダウニング・ストリートまで広がった。

現場を取材したBBCのリチャード・ギャルピン記者は、デモは平和的で活気にあふれていると語った。取材に応じたデモ参加者からは、週末にかけて多くの抗議デモが計画されているという声もあった。

一方、政府ウェブサイトに開設された、閉会をやめるよう求めるインターネット署名では、1日足らずで100万筆以上が集まった。

提訴は可能なのか

ジョン・メージャー元首相など政界の重要人物はかねて、ジョンソン首相が合意なし離脱のために議会を停止させた場合は提訴に踏み切ると話していた。

28日の発表を受けてメージャー氏は、ジョンソン氏は「自分のブレグジット政策に反対する議会を無視する」ために閉会に踏み切ったことは「明白」だとして、法的手段を模索すると話した。

スコットランドではすでに、スコットランド国民党(SNP)の主導で提訴の手続きが進んでいる。

イギリスでは、閉会を含む女王の特権行使について、法的に争うことはできない。

しかし、反EU離脱活動家のジーナ・ミラー氏によると、「閉会が議会の主権を制限する意図で行われ、そうした効果を持つなら、それは違法かつ違憲だと思う」と指摘した。

(英語記事 Parliament suspension sparks furious backlash

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49505881

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