2024年4月18日(木)

中国はいま某国で

2012年3月5日

 第二は、東欧やバルト海諸国に注ぎ込んだ日本外交の資産を活かすには、そろそろ時間切れだということである。ソ連崩壊後の支援に始まり両陛下を含む皇族方のご訪問実現まで、1990年代以降の日本は、リトアニアなどロシア隣接諸国に積極外交を試みた。

 当初の動機は、米国始め西側諸国が旧東側各国を助けるのを手伝うところにあった。やがて、ニッポン、ここにありという旗をロシアのいわば表門側へ立てに行く「自由と繁栄の弧」政策となり、安倍・麻生外交を基調づけた。しかしこのままだと、まだ幾分かはある日本外交の含み資産が枯れていく。代わりに浸透するのが北京の影響力だということを、「陽光号」は教えた。

 第三が、重慶・リトアニア路線は中国が欧州と結ぶ鉄路のうち、いくつかある中の1つに過ぎないことである。この先、果たしてどんな鉄道輸送路が中国と欧州を一体化し得るのか。我が国産業はどれほどそれに依存せざるを得なくなるのか。日本の戦略を考えるには、急ぎ白地図に路線を描いてみておく必要がある。

◆WEDGE2012年3月号より


 




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