五輪を彩るテクノロジー

2019年9月7日

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黒井克行 (くろい・かつゆき)

ノンフィクション作家

1958年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家。人物ドキュメントやスポーツ全般にわたって執筆活動を展開。主な著書に『テンカウント』(幻冬舎文庫)、『男の引き際』(新潮新書)、『高橋尚子 夢はきっとかなう』(学研)、『日野原新老人野球団』(幻冬舎)、『指導者の条件』(新潮新書)、『ふるさと創生―北海道上士幌町のキセキ』(木楽舎)他多数。

 「天を味方につける」

 アスリートにとってこれほど心強いことはない。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、その「天」とアスリートの仲介に名乗りを上げたのがウェザーニューズだ。

ウェザーニューズが筑波大学と共同研究した高層ビルによる熱や風をも計算し、街中の温度を予報できる「都市気象予測モデル」

 同社は15年のラグビーW杯イングランド大会で既に〝天を掌握〟し、日本が南アフリカを破る歴史的快挙に一役買っていた。荒天が予想される試合当日を大胆にも「穏やかな晴天」と断言し、日本に戦略をはじめとした試合へ臨む準備に多大な貢献をしたのだ。

 同社「スポーツ気象チーム」リーダーの浅田佳津雄氏は、「あらかじめ正確な気象情報を入手し、それに基づく備えは必ずプラスに働く」

 こう断言してらない。そして東京五輪ではさらなるテクノロジーを駆使してメダル獲得のためのサポートを惜しまず、日本に〝天を味方に引きつけよう〟と、10種目以上からの依頼を受け、精力的に活動をしている。

 たとえば、東京の猛暑対策だが、「風や湿度、日射も絡み合って熱中症を引き起こせば、競技に影響を与えかねない」と浅田氏はスポーツ気象チーム7人と共に、各試合当日を想定した気象データの観測収集に汗を流している。マラソンに対してはこうだ。

 昨年からレース当日と同じ時間帯の気象を観測し、併せて過去20年ものデータにも目を配ることを忘れない。実際にコースを自動車で走って5キロ毎に気温や湿度、風向に日陰日なたも確認すると同時に、走る選手の目に飛び込む光景も動画に収める。テクノロジーというよりも汗くさいアナログのように思えるが……。

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