田部康喜のTV読本

2019年9月11日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 加地は不起訴になる。係長の警部・手塚(遠藤)の判断で、加地を釈放して、詐欺グループの頂点の摘発を目指す「突き上げ捜査」をすることになったのである。今宮と加地の駆け引きが始まる。釈放の際にふたりは次のようなやり取りをする。

加地 「なんか俺、守られるべき善良な市民みたいですね」

今宮 「あなたは、守られるべき善良な市民ですよ」

毎回繰り広げられるさまざまな詐欺との戦い

 物語は、「振り込め詐欺」の頂上作戦を縦糸として、毎回ゲストを迎えてさまざまな詐欺事件と、今宮との戦いを描いている。

 第1回「名前のない男」(8月31日)は、加地の過去を描くとともに、振り込め詐欺の被害者の三島悦子(泉ピン子)が登場した。息子が痴漢をしたから、被害者に示談金がいる「オレオレ詐欺」に引っかかったのである。

悦子 「なんで騙されちゃったのかね。あの子が痴漢なんてしないのに」

今宮 「人の心がわかるんですよ」

悦子 「どこにもプロがいるんですね。老人ホームに入るお金を取られちゃって」

 悦子のもとに、警察を名乗って、またオレオレ詐欺の犯人から電話があるという。悦子は、騙されたふりをしようとしたが、結局はまた金を騙し取られる。自殺未遂を図った悦子の息子は、今宮にいう。

「おかあさんは、騙させることぐらいしかできないんだよ、といってしまって……」

 悦子は、結局亡くなる。息子は「せめて、『おかあさん、ありがとう』っていいたかった」。

 第2回「流転する老人たち」(9月7日)は、実在の土地について架空の所有者をでっちあげて、正式の売買取引をよそおって代金を搾取する「地面師詐欺」がテーマだった。元高校教師の北村徳治(伊東四朗)は、痴ほうぎみである。教え子の原田明美を名乗る女(筒井真理子)が自分の父の土地を売るのに、身代わりになって欲しいといわれるままに、地面師詐欺の片棒をかつぐことになってしまった。

 女は有名な詐欺師だが、表面に立たないので今回も釈放される。北村は詐欺罪に問われそうだ。今宮が「その人は原田さんじゃなかったんです。原田さんになりすまして、騙したんです」というと、北村はこういうのだった。

「この歳になって、生徒の役に立てて、俺は幸せだ。ワハハハ……」

 木村文乃は、刑事モノでは捜査1課の「殺人分析班シリーズ」(WOWOW)の如月塔子役がある。今回のドラマも木村の代表作となるだろう。

  
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