安保激変

2012年4月5日

»著者プロフィール
著者
閉じる

辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

スティムソン・センター日本部長

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

サミット閉幕前に帰国した野田総理

 しかし実際はそうならなかった。各国首脳が会合の期間よりも前から韓国入りして活発な外交を繰り広げるなか、野田佳彦総理がソウルに滞在したのは全体会合が行われているわずか18時間。それも、サミットの閉幕を待たずに日本に帰国するという「超短期滞在」だったのだから、無理もない。総理自身が超短期滞在になってしまうなら、会合に「総理特使」を派遣して、総理の名代として、首脳外交に参加はできずとも、同行の政府高官と会談させることもできたはずだが、それもしなかった。日本の存在感を高めるための絶好の機会をみすみす棒に振ってしまったことになる。

 日本の内政事情が、総理の長い外遊を許さなかったという議論はもちろんある。しかし、今回の場合、開催場所はお隣の韓国、飛行機で数時間の距離だ。会合前日に韓国入りし、会合終了直後に帰国しても2泊3日だ。ましてや、総理が必ず国内で見届けなければいけない重要法案の投票があったわけでもなかった。総理のやる気一つで違う対応が可能であったのではないかと思わざるを得ない。

 各国の首脳53人が集った会合の主催国という大役を果たした韓国の存在感は、サミット後、また一段と上がった。対して、日本の存在感は希薄なままに終わった。伝えるべきものがあっても、それを生かせなければ何の役にも立たないことを実感した会合だった。


「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

新着記事

»もっと見る