中国はいま某国で

2012年4月6日

»著者プロフィール
著者
閉じる

谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

 中国名を奇瑞汽車という安徽省・蕪湖市出資の官営企業がつくるリッターカーQQは、販売車種の7割近くが同クラスというブラジル市場にヒットした。11年は年初来7月までで、チェリーのブラジル向け輸出台数は2万2395台を記録、前年比3倍以上の伸びを示した。中国車全体のブラジルにおけるシェアは、10年4月にほぼゼロだったのが11年8月には3.3%まで上昇したという。

 ブラジル自動車市場は独フォルクスワーゲン、伊フィアット、米GMの3強が3分の2のシェアを握る場所だが、中国車の浸透が無視できなくなってきた。フィアット最高経営責任者のセルジオ・マルキオンネ氏は11年8月、中国車の挑戦は「大変な脅威」だと述べ業界に覚醒を促した。

 市場シェアを15年までで3倍にするのを目標とする奇瑞汽車は、ブラジルが採用した輸入関税をかいくぐるため生産の現地化も進める。ブラジルのサン・パウロ近郊に4億米㌦かけ組立工場を建てたほか、ベネズエラ工場も11年9月に完成、操業を始めた。

 売りは価格の安さで、チェリーQQフル装備車は同クラスで不完全装備の独車などに比べ邦貨で7~8万円安い。ちなみにチェリーのエンブレムはトヨタ車かマツダ車のそれを思わせる。開発には日本車などを真似ればよく、コストを浮かせる。奇瑞のように官営なら株価重視の必要もない。安くつくれるわけだ。

 日本勢にも奮起が必要なところか。

◆WEDGE2012年4月号より


 




「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

編集部おすすめの関連記事

関連記事

新着記事

»もっと見る