世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年4月16日

»著者プロフィール

 ワシントン・ポスト3月24日付で、米ブルッキングス研究所のMichael O’HanlonとBruce Riedelが、イランに対しては、オバマが否定した封じ込め政策でもなく、年内の核施設攻撃でもなく、締め付け政策で行くべきだ、これは、核開発を遅らせる手段として、攻撃と同じくらい効果があるだろう、と言っています。

 すなわち、イランに対しては、封じ込めか軍事攻撃かと言われているが、オバマは封じ込め政策(核共存を認めた上での封じ込め政策)は取らないと言った。とすると、イスラエルか米国によるイラン攻撃が年内に行われることになるが、そうなれば、IAEAの査察官は追放され、国際制裁もどこまで維持出来るかわからない。しかもそれは開発を数年遅らせるだけだ。

 しかし、制裁等による「締め付け」という第三の道がある。これは、基本的にイランの核開発を遅らせ、制限する努力であり、イランが核兵器を保有した後も続けることが出来る。北朝鮮が良い例で、北朝鮮の場合は、開発を遅らせる合意が存在した期間もあった。イランとの間にそうした合意が出来る可能性は当面小さいが、それでも締め付けによってイランの核開発は2008-9年頃の予想よりも遅らせることができた。締め付け政策を続けている間に、イランが大規模な核兵器工場を作る、あるいは、IAEAの査察官を追放するようなことをしたら、武力を行使しなければならないが、現在はそうしたことは起きていない。われわれが警めるべきは、現在のような緩慢なプロセスに我慢できずに武力を用いてしまうことだ、と言っています。

                   ◆         ◆         ◆

 常に現実主義的な意見を有する軍事専門家オハンロンが、対イラン戦略について初めて総合的に発言したのですから、その意見は慎重な考慮に値します。

イランは公式には核武装はしないと言っており、IAEAの査察官も受け入れている、武力攻撃はそうした前提をすべて壊してしまい、しかもその効果は数年しか持たない、というオハンロンの指摘はその通りでしょう。また、北朝鮮の場合を考えると、確かにオハンロンの言うように、米国と北朝鮮はこの20年近くある意味で核共存してきており、まだ北は直接の脅威とはなっていません。

 それに対するイスラエル側の反論は、数年でも時間を稼げればよし、その間にイランで政変が起きるかもしれないし、またどうしても必要になれば再度攻撃すればよい、ということでしょう。また、北朝鮮の場合は、北からの一斉砲撃がソウル市民に与える被害を考えると、核施設へのピンポイント攻撃などとてもできなかったという事情があります。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る