世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月2日

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 北朝鮮の衛星発射を受けて、米ヘリテージ財団のBruce Klingnerが、同財団のウェブサイト4月12日付で、安保理での新決議採択やアジアでの軍事力維持などが必要だ、と主張しています。

 すなわち、北の「衛星打ち上げ」は、「弾道ミサイル技術」による打ち上げを禁ずる安保理決議の明白な違反であり、米国は、軍事的制裁を認める国連憲章42条を引用した安保理決議を提出するようにすべきだ。ただ、中国がどう出るかわからない。中国は、全ての関係国に責任があるかのように振舞ってきた。米国は中国の行動は中国の利益にならないとはっきりさせるべきだ。

 また、米国は、1)全国連加盟国に既存の制裁を遵守するように要求する、2)北の拡散に関与した企業などに独自に制裁を課す、3)韓国、日本で米軍の前方展開を維持する、4)防衛コミットメントに資金を手当てする(5千億の追加防衛費削減をすれば、抑止や防衛の約束を守れない)、5)ミサイル防衛を強化し、韓国をミサイル防衛網に組み込む、6)韓国に対し、ミサイルの300km以上への射程延伸を認めるべきだ。

 米国はアジアで北の脅威に対抗する強固な軍事力をもち、北朝鮮の不安定化について同盟国と対処策を練る必要がある。今回の失敗で金正恩の権力に影響は無いだろうが、更なる失敗があると、金正恩は指導者としての適格性を疑われることになるかもしれない、と言っています。

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 今回の北朝鮮の衛星発射については、安保理決議ではなく、議長声明――発射を非難し、新たな発射や核実験があれば、安保理として行動すると警告する――を出すことに決まりました。議長声明よりも決議の方が望ましいですが、常任理事国の中国が反対している以上、決議は無理ですから、日本としても固執することはないでしょう。

 ただ、クリングナーは、米国は強い対応を、と言っていますが、憲章42条の引用以外、常識的な内容で強くも何ともありません。また、今回の衛星発射の失敗は金正恩指導部への打撃になるという説もありますが、影響はあったとしても微々たるものでしょう。

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