2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月2日

 他方、名誉挽回のために北が核実験をやる可能性はありますが、目的はそれだけではなく、核の小型化技術の確認やウラン爆弾等、現実的な効用も考えて行なうということでしょう。要するに、金正恩は金正日路線を忠実に引き継ぎ、今後も核兵器や長距離ミサイルなど、対米攻撃力の確保に力を入れていくということです。これは交渉などでは止められず、止まるのは、中国が強い対北圧力をかける、あるいは北が内部崩壊を起こすなど、地政学的変化が起きた時でしょう。

 既に北の中距離ミサイル「ノドン」の射程内にある日本にとっては、長距離ミサイルによって北の脅威が強まるわけではありません。しかし、北は核兵器を保有しているだけでなく、小型化にも成功している可能性があります。その北が核兵器を打ち込む可能性が一番高いのは日本です。同民族の韓国への核使用は考えがたく、中国やロシアを撃つことも考えがたい、米国には今のところ届かない、しかし、日本については、北の労働新聞はよく「わが民族に最大の犯罪行為を行った国」と書いています。日本はこのことを真剣に受け止めるべきでしょう。

 また、米国は、イランの核兵器については、軍事力を使っても阻止する(核保有を認めて封じ込める政策はとらない)ことを基本方針としていますが、北については、核保有を許容し、長期的に止めさせようとしています。こうした違いが出てくるのは、サウジなどと日本との間に自国の防衛に対する取り組みの違いがあるからです。3度目の被爆を避けるためにはどうするのが良いのか、われわれ皆がよく考える必要があります。

 


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