2024年4月20日(土)

渡辺将人の「アメリカを読む」

2012年5月2日

 「アル・スミスは最初のカトリック系の大統領候補だった。1928年にフーバーに敗北した。経済は最悪だったし、人々は共和党が好きだった。カトリックであることは問題だったかもしれないが、スミスがプロテスタントだったとしてもどうせ彼は負けていた」とギジは指摘する。1932年にスミスは指名レースに名乗りを上げたが、民主党はローズベルトを選んだ。

 ギジは「モルモンであることが一部の人々に大問題である現実を否定するつもりはない。たしかにボーンアゲンのキリスト教徒はロムニーを支持していない。しかし、オバマと戦う候補者としては、95%が支持という数字になる」として、経済という大きな争点がある選挙戦ではモルモン教問題は相対的に陳腐化すると見る。

 「モルモン問題」が消えたわけではない。しかし、ガソリン価格上昇や8%台の失業率高止まりに象徴される経済的危機にあって、当初予想されたほどには宗教は問題にならないのかもしれない。モルモン要素を薄めるため、副大統領候補はプロテスタントのキリスト教徒である必要はあるのか。これも必ずしもそうではないだろう。カトリック教徒になる可能性もある。クリスティ知事、マクドネル知事、マルチネス知事、あるいはライアン下院議員などだ。ロムニーは都市部の高学歴、高所得者の間では評価が高いが、農村部や労働者層、とりわけ南部を苦手としている。ギジは可能性を否定するが、ここを補完する上ではサントラムという選択肢は悪くはない。いずれにせよ、副大統領候補の選び方は、ロムニーの勝敗を決める重要なバロメータになろう。

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