2024年4月20日(土)

中国はいま某国で

2012年5月11日

 どうやら中国が望む西太平洋分割の方法論が透けて見えだした。手つかずに等しい小島嶼国に民間を装う資本を大量投下し、中国人滞在人口を増やした後、やおら政治・軍事的浸透を図る戦略か。その関心は、戦前日本に属し、今米国の保護下にあるいわゆる南洋諸島をひとつの焦点とする。

 ヤップ島が属すミクロネシア連邦は独立国で、大統領は日系のエマニュエル・モリ氏。「冒険ダン吉」のモデルとされる高知出身・森小弁の曾孫だ。さりとて日本には時々会議を開いて氏らを呼び(今年はその「島サミット」開催年)、限られた援助を与えるくらいしかできない。米国も、保護国としながら管轄を国務省でなく国立公園などと同様内務省に任せて今まで来た。

 弱いところを中国はうまく衝いた。ヤップには独立気運がある。実現でもした日には、北京が真っ先に承認することだろう。

◆WEDGE2012年5月号より

 

 

 

 

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