世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月9日

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 エコノミスト誌が、ウェブサイト4月20日付で、中国の人口減少は中国のアキレス腱になる、と論じています。

 すなわち、国連によれば、中国の出生率は現在(2010年)の1.56から2015~20年には1.51に下がる。他方、米国の出生率は現在の2.08から更に上がる。また、中国の人口は、現在の13億4千万人から2050年には13億人に減り、このまま出生率が回復しなければ、2060年には10億人を下回ることになる。そのため、米国の人口は今後40年で30%増加するのに、中国の人口は2026年をピークに減ることになる。さらに、中国人の年齢中間値は、現在は34.5歳だが、2050年には49歳になる。特に高齢化が著しい上海は、2020年には人口の3分の1以上が60歳を超えると予測されている。

 こうした傾向は、深刻な財政的・社会的問題を引き起こすことになろう。中でも最大の問題は、対策が無いまま、大量の年金生活者を抱えこむようになることだ。中国には子供が親の面倒を見る伝統があるが、急速な高齢化により「4-2-1現象(1人の孫が両親2人、祖父母4人の面倒を見る)」が出現しており、そのため、子供世代が親より上の世代の面倒をみることは無理になってきている。

 他方、世界の工場としての中国の役割は終わろうとしている。地方にはまだ失業者がいる一方、中国は既に肉体労働者の不足に直面している。特に、2013年以降は、労働人口が減り出すので、問題はいっそう深刻になるだろう。2030年には中国は労働者の純受け入れ国になる、と予測する者さえいる。

 しかし人口減少の解決策としての大量の移民受け入れは問題が多い。唯一の例外は米国だが、米国は自由な多民族国家であり、移民受け入れの長い歴史があり、強力な法的・制度的体制が整っているのでうまく行った。しかし、中国にはそうした要素は皆無だ、

 また、中国が経済成長を続けることによって人口問題を解決できる可能性もかなり低い。結局、人口問題は、中国で巨大な社会問題を起こすだけでなく、その成長率も抑え込むことになるだろう。この中国のアキレス腱は致死的というわけではないが、中国をよろめかせることにはなる、と言っています。

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 中国の人口問題に簡単な解決策はありません。エコノミスト誌が指摘する通り、中国の経済成長率が今後下がっていくことは必至でしょう。本年10月に予定される中国共産党全国代表大会において選出される新指導部が、適切な対策を打ち出せるか否かもまだ解りません。

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