2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月10日

 しかし、実際は、中ロが制裁に参加したとしても、現状ではシリア問題が解決する可能性は極めて小さいように思われます。少数のアラウィ派を基盤とするアサド政権にとって、今の事態は、負ければアラウィ派の皆殺しを覚悟しなければならない、死ぬか生きるかの戦いですから、弾圧の手を緩める気は毛頭無いと推定されます。

 西側の政治家も戦略家もそれはよく知っています。知っていながら、建前上は、シリア政府による自国民の流血の弾圧は許せないので、とりあえず様々な経済制裁措置を取っているのであり、中ロの非協力は、むしろ、これ以上効果的な措置がとれない現状の隠れ蓑となっている感があります。ニューヨーク・タイムズもそれを知らないわけでもないでしょう。そこで、この社説も、実質のない説教、あるいは、建前論とならざるを得ないのだと言えます。

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