2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月14日

 また、印パ関係については、パキスタンもインドに対抗してミサイルや核兵器の増強を行うでしょう。パキスタンの核戦力は、現時点では、インドによる第1撃攻撃で破壊される危険性があり、その意味では、印パ間の核のにらみ合いは安定性が欠けていますが、これも徐々に相互確証破壊状況に近づき、安定していくと思われます。

 さらに、これら印中パ3国間には、いわゆる「核による平和」が成立する可能性があります。この3国関係から核兵器の要素をなくしてしまうことはもう不可能でしょう。

 また、米ロ中心の核軍縮プロセスに関しては、印中パ3国が共にも加わるか、あるいは3国共に加わらないかのどちらかしかあり得ず、実現はそう簡単ではありません。オバマの「核兵器なき世界」は、この3国関係を見ただけでも、見果てぬ夢に終わることは明らかです。

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 修正履歴
1ページ目第一段落
「射程500km超の核弾頭搭載型・長距離移動式ミサイル」は 「射程5000km超の核弾頭搭載型・長距離移動式ミサイル」の間違いでした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。(2012年5月16日11時50分)

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