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2012年5月16日

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佐々木正明 (ささき・まさあき)

産経新聞リオデジャネイロ支局長

1971年岩手県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業。産経新聞社に入社、神戸総局、横浜総局、大阪本社社会部等を経て2014年10月までモスクワ支局長。著書に『シー・シェパードの正体』(扶桑社新書)、『恐怖の環境テロリスト』(新潮新書)

 昨年6月、ニューヨーク・タイムズの記者に「もし、エコテロリストと言われたら、こう言うよ。俺を逮捕してだまらせてみな。俺は何の手配も受けていないのだから」と豪語していた米国の反捕鯨団体シー・シェパードのポール・ワトソン代表(61)が5月13日、ドイツ・フランクフルトの国際空港で、身柄拘束された。ワトソンは、フランスに向かうため、フランクフルトにトランジットで立ち寄ったところだったという。

 2002年にシー・シェパードがキャンペーンを行った中米コスタリカのサメ漁妨害にからむ事件で、コスタリカ当局の逮捕要請の基づくドイツ司法当局の判断だったと報じられている。

日本も国際手配していたワトソン

 片や「環境テロリスト」、片や「海のヒーロー」とも呼ばれるワトソン拘束のニュースは世界中を駆け巡った。

「WHALE WARS」の公式サイトで  ファンのために配布していた壁紙用写真。手前左がこの度身柄を拘束されたワトソン

 フランス通信(AFP)によれば、フランクフルト検察官の話として、「ワトソンは、船員を危険な状態に追いやった嫌疑がかけられている」とされ、一方で、ロイター通信はフランクフルトでワトソンに接見した弁護士が語った「彼はショックを受けている」とのコメントを全世界に打電した。

 弁護士によれば、16日までワトソンは身柄拘束されることが決定したという。それまでの間にドイツとコスタリカ両国の外交当局がワトソンの身柄をどうするかを協議するものとみられる。フジテレビは15日昼に、最新情報を流し、コスタリカ司法当局の話として、ワトソンが2004年に予定されていた裁判に出廷しなかったため、コスタリカ司法当局が国際手配したことや、身柄がコスタリカに引き渡された場合、最長で懲役15年の実刑になる可能性を報じた。

 ワトソン“逮捕”劇については、コスタリカ当局が沈黙を守っている(15日現在)以上、まだまだ事実関係が不透明なところもある。一方で、シー・シェパードを支援してきた欧州各国の有力政治家がワトソンの身柄引き渡し阻止と釈放に向け、ドイツ司法当局や国際機関に働きかけを始めたとの情報もある。

 さらに、シー・シェパード問題をめぐっては、日本の海上保安庁も2010年の南極海調査捕鯨妨害事件にからみ、威力業務妨害容疑などでワトソンに逮捕状を用意し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配していた経緯がある。

ワトソン逮捕は初めてではない

 こうした中で、今後の見通しについていくつかポイントを整理してお伝えしたいと思う。

 まず第一に、これまで世界中で数々の過激環境活動を繰り広げてきたワトソンの逮捕は今回が初めてではないということ。

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