世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月18日

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 National Interestのウェブサイト4月25日付で、米テキサスA&MのChristopher Layneが、歴史が変遷することは避けがたく、米国が独占的な力を持つのは過去のこととなりつつあり、これに対し、今後の米国の政策は off-shore-balancing(外からの勢力均衡政策)であるべきだ、と言っています。

 すなわち、世の中は変わっていくものであり、それに即応していかねばならない。そして、米国が off-shore-balancing 政策をとるに当たっては、1)地域別の優先順位を設定しなければならない。欧州と中近東は前ほど重要ではなく、東アジアが新たな戦略的関心地域である、2)海外の軍事プレゼンスを削減して、他国が地域安定の責任を負わねばならない。目指すのは、burden sharing でなく、burden shifting であり、例えば、欧州は、米国が引き揚げれば、地域についてより大きな責任を負うことになる、3)軍備は、陸軍でなく、海空中心になる、4)国家建設などというウィルソン的、十字軍的考えは避ける。米国にはもうそんな余裕はない、5)中東における米国のプレゼンスが小さくなれば、イスラム原理主義への刺激も少なくなり、テロの削減にもつながるだろう、と言っています。

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 この長文の論文の大部分は、大英帝国の衰退から今日にいたる世界の覇権国の盛衰の経緯を淡々と公正客観的に分析しています。その客観的記述から、off-shore-balancing に至る論理は、実はあまり明らかではありませんが、ともかく世の中は変わるものであり、それに即応していかねばならない、というのが基本的な考え方です。

 そして、米国の国防費削減について、ハト派・タカ派交えての侃々諤々たる議論の焦点がだんだん合って来た感があります。つまり、国防費削減の対象は、まず第一にNATO地域、そしてアフガン、イラクであり、それから、兵種として重視するのは、海空軍であり、地上部隊は削減していくということです。

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