今月の旅指南

2012年5月25日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 広島に夏の訪れを告げる祭りといえば、「とうかさん大祭」だ。広島市の繁華街にあるとうかさん圓隆寺(えんりゅうじ)の祭礼で、毎年6月の第1金曜日から3日間にわたって開催、期間中の人出は45万人を数えるという。

 とうかさん大祭の別名は“浴衣の着始め祭り”。入梅前の気温が高い時期に当たることから、その年初めて浴衣を着て出かける祭りと位置づけられるためで、かつては、デザイナーズブランドの新作浴衣をお披露目する場ともなっていたそうだ。

400年近い歴史を持つとうかさん大祭はえびす講、住吉祭とともに広島3大祭の1つ

 「明治、大正の頃の子どもたちは日常着が浴衣という時代ですから、毎年とうかさん大祭の前に新しい浴衣を作ってもらい、それを着てお参りをするという習慣がありました。祭礼では派手な神輿(みこし)や山車(だし)もありませんが、親子代々受け継がれてきた子ども時代の懐かしい思い出がつまった庶民的なお祭りなのです」

 と、住職の中谷本耀(なかたにほんよう)さん。

 とうかさん圓隆寺の正式名称は福昌山(ふくしょうざん)慈善院圓隆寺だが、地元では“とうかさん”の名で親しまれている。これは御神体の稲荷大明神を“いなり”ではなく、“とうか大明神”と呼ぶことに由来している。寺の建立は元和5(1619)年。広島藩主だった浅野長晟(ながあきら)より1600坪に及ぶ土地の寄進を受けたことから、稲荷大明神は当初、武運長久の神様としても祀られていた。時代は移り、今では商売繁盛から無病息災までご利益をもたらしてくれる神様として広く親しまれている。とうかさん大祭の期間中に限り、御神体がご開帳となる。

浴衣姿の参拝者の姿も多い

 「中央通りから境内にかけて1000軒もの露店が並ぶ光景は壮観です。境内に飾られた500個の提灯も見ものでしょう。全国に先駆けて浴衣を着て出かけるお祭りを、楽しんでいただきたいですね」

 綿菓子からお化け屋敷まで、多彩な露店が軒を連ね、提灯が闇夜を煌々と照らし出す。一足早い夏祭りで童心に帰ってみるのもいい。


とうかさん大祭
<開催日>2012年6月1日~3日
<会場>広島市中区・とうかさん圓隆寺(山陽新幹線広島駅から市電)
<問>とうかさん祭禮委員会  082(241)7420
http://www.toukasan.jp/

◆ 「ひととき」2012年6月号より


 

 

      

 
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