World Energy Watch

2012年5月21日

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 シェールガスの生産増により、日本向けLNGと米国国内価格の差は逆転し、その後拡大している。一方、米国からのLNGの輸出価格は上昇しており、2011年の米国LNGの価格は日本の輸入価格の3分の2になっている。日本の電力会社が総括原価主義ゆえに、コストを考えずに高い天然ガスを購入しているというのは、どういうデータに基づく主張だろうか。データをよく調べたうえで報道する必要があるのではないか。

感情論ではなく冷静な議論を

 原発事故のあと、「電力会社は競争力を高めるために、安全面を強化する投資を行わなかった」との非難があった。その一方、「総括原価主義で必要なコストは全て回収することが可能なので、高い燃料を購入している」と非難されている。「電力会社は信用できないから、やっていることは全て気に入らない」という人たちがいるのだろう。

 しかし、安定的に電気を供給するために、当然必要となる燃料費の安定供給を実現するには、日本の現在の状況では長期契約を主体に購入せざるを得ない。もちろん、だからといって高い燃料を買ってよいわけではないのは当然だ。先述のように、熾烈な価格交渉も行っている。

 我々は電力供給に何を求めているのだろうか。安定的な供給が低料金で行われるのが理想だが、自由化を行った諸外国でも、安定供給と低料金が実現されたかどうかの評価は分かれている。

 世論調査によると、震災以降、電力会社は信用できないと考える人が増えている。原発事故に対する東電幹部、広報の対応が招いた結果とも言えるが、電力会社のコスト構造と安定供給を実現するための制度の議論については、好き嫌いの感情論ではなく冷静な態度が必要だ。電力会社を悪者にしておけば済む話ではない。

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