世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月24日

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 Foreign Policyのウェブサイト5月2日付で、米AEIのMichael Auslinが、先日の野田総理とオバマ大統領、クリントン国務長官との会談はメディアに注目されなかったが、日本の長年にわたる平和主義の伝統に変化が起きている、としてこれを歓迎しています。

 すなわち、日本の伝統的な平和主義にゆっくりと着実に変化が起きている。日本は小さな措置を積み重ねて、将来、より大きな地域的役割を果たす潜在能力をつけつつある。野田総理やその後継者が、日本の果たすべき役割について明確なビジョンを打ち出すことができれば、日本は、地域の安全保障について指導的地位を獲得し、アジアの軍事関係を変えることができるだろう。

 日本も、最大の貿易相手国である中国との関係は損ねたくないだろうが、日本にとって中国軍が当面の唯一の脅威であることは間違いない。中国との経済関係を維持しつつ、中国に対抗できる軍事力の増強をどう正当化するかが課題であり、純粋な自衛から「動的防衛力」への移行を始めた日本は、是が非でも新たなビジョンを必要としている。

 また、ビジョンと別に日本が為すべきことは、自衛隊の海外派遣に関する一般法の整備だろう。現行法では、自衛隊の海外派遣には、その都度、特別法を国会で通過させなければならない。

 そして、さらに重要なことは、集団的自衛権の行使に関する考えを変えることだ。そうすれば、日本は内向きで、国際的目的の為に犠牲を払う覚悟がない国、という誤解を払拭できる。

 とりあえず取れる具体的な措置は、日本の海上保安庁は人員も装備も世界最高水準なので、地域諸国の海上保安能力向上の為の訓練を行うことだろう。沖縄に地域の沿岸警備隊の為の訓練・情報センターを作るのも一案だ。また。ドローン機を増強して海上監視能力を高め、監視活動を北東アジアだけでなく、南シナ海にまで拡大することも考えられる。地域の小国と協力して、このような監視体制を整えることができれば、問題が起きた時に迅速に対応できるようになる、と言っています。

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 これは、野田総理訪米に際して、防衛問題に対する日本の姿勢の長期的変化を驚きと歓迎の気持ちで捉え、指摘した意義深い論説と言えます。

 すなわち、第一に、野田総理は民主党だが、自民党以来の日本の防衛問題に対する態度の変化を継続させている。武器輸出三原則の緩和やF-35の導入を決め、首脳会談前に、普天間問題を後回しにして米軍再編計画を進めるという小さなお土産も用意した。また、「動的防衛力」とは、南西地域における日米共同作戦を念頭に置いたものだと指摘して、野田訪米を積極的に評価しています。

 第二に、湾岸戦争での札束外交への反省、9.11以降の日米協力の進展、そして、1910年の尖閣を巡る衝突と時を同じくした防衛大綱の改定など、日本の意識改革が着々と進んできたことを例証しています。

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