2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2012年5月30日

主役から脇役、そして再び主役へ

 ドラマとは、その設定がどこか非日常的である。和久井が脇に回った2作は、それがずば抜けている。しかし、描かれているテーマは、恋であり、家族であるようなオーソドックスなものだ。「大奥」では主人公役の二宮和也演じる大奥入りした武士と、町娘の堀北真希との恋愛劇であり、「プリンセス」では、父と子のふれあいだった。

 破天荒な設定の主人公をテーマに即して魅せるのは、脇役の現実感である。非日常のドラマの展開のなかで、観ている者の日常につなぐのが、脇役ではないかと考える。和久井の演技はそのようなものであった。

 主役級の女優から脇役に、そして、「もう一度君に」で和久井は再び主役になった。不惑を過ぎた女優をヒロインにするキャスティングは、脇役の和久井の演技力を知っていれば当然だったのだろう。 (敬称略)

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