2024年4月20日(土)

佐藤忠男の映画人国記

2012年6月8日

 篠原哲雄は着実に良質のエンターテインメント作品をこなせる中堅監督として地位を確立してるが、自身では実験的に作った「草の上の仕事」(1983年)を誇りにしている。草刈りというなんでもない労働をたんねんに描いた中編である。確かにこれは非商業的だが価値がある作品である。都会人こそが大地の緑に憧れるのだ。

 都会人の作った緑の大地の映画の傑作としてはアニメーションの「となりのトトロ」(1988年)がある。この作者の宮崎駿が文京区出身。これに限らず荒廃した大地の甦りは彼の作品で繰り返される最も重大なモチーフである。(次回は東京都その3)

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