WEDGE REPORT

2012年6月4日

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 昨年5月、促進協議会を後押しする農水省輸出促進室は農業団体に入会を呼びかけたが、そこでは「いままで中国との間でできたルート以外で輸出事業をやり始めると、既存のルートをとりもってきた商社や小売・卸売業者から国内市場より排除される危険性がある」「会費をとって特定企業につなぐというのは、囲い込みではないのか」などを理由に入会しないところが多かったという。また、全農も促進協議会に冷淡で、会員拡大はまったく進まなかった。

 当初、「1000社、あるいは3000社と会員を増やす」(促進協議会の代表理事)としていたのに、3月14日の参議院予算委員会での筒井信隆農水副大臣の答弁によると、今年2月現在で、会員企業・団体は20にとどまった。

 こうなると、当然予定した資金が集まらない。そこで促進協議会では発足早々、初期活動資金とするため基金募集を行うこととした。昨年8月16日付で促進協議会が出した「基金募集に関する通知」によると、8月末日までに募集する総額は3億円(1口100万円、300口)。

北京常設展示館もオープンの目処立たず

 基金に応募するよう勧誘を受けた団体の関係者は、こう語る。

 「はじめは農水省の肝いりで始められるという事業なのに、なんで巨額の基金募集をしなくてはならないのか、不思議でした。ところが、説明の際に提供された初年度の事業計画を見ると、北京の常設展示館の経費として4億円が計上されていました。年間の使用料が2億円、内装工事費が2億円だというのです。まだ具体的に収益のあがる事業がなく徒手空拳の段階で、なんでこんな巨額経費を使うのか理解に苦しみ、お断りしました」

 促進協議会がこれまでに集めたのは、1億8000万円あまり。事業計画で経費として計上した4億円には程遠い。しかも、促進協議会がウェブサイトで5月中旬にオープン予定としていた北京の常設展示館は、これまでのところまったくオープンのメドは立っていない。

 中国の検疫制度のハードルの高さを利用して資金集めをしていた今回の事業。野田首相が視察までしておきながら、いまさら「実現は困難になりました」では済まされない。しかも、そこに中国のスパイが関わっていたとなると、あまりにもみっともない。

  
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