2024年4月24日(水)

解体 ロシア外交

2012年6月8日

グルジア訪問の重要性

 ともあれ、クリントン氏は6月4日にアルメニア、5日にグルジア、6日にアゼルバイジャンを訪問した。ここで最も重要なのは、ロシアの「敵対国」であるグルジア訪問だ。

 クリントン氏は、サアカシュヴィリ大統領やギラウリ首相のほか野党指導者らとも会談を行った。サアカシュヴィリ大統領との会談では、両国の友好関係を確認したほか、黒海沿岸のバトゥーミで米国とグルジアの協力に関する政府間委員会に出席。グルジアで「ロシアによるグルジアの一部占領と軍事化に反対する」と強調し、ロシアがグルジア内の南オセチアとアブハジアの独立を承認し、事実上の占領を行っていることを改めて批判した。

 加えて、黒海沿岸の警備体制の強化や軍事訓練への協力など、グルジアへの軍事支援も約束したうえで、南オセチアとアブハジアをめぐる対立の平和的で公正な解決は米国の優先課題だとも強調した。他方、グルジアのギラウリ首相は、米国の支援に謝意を示すと共に、NATO加盟を引き続き目指していくと述べた。これらのグルジアにおける米国の動きは、ロシアにとっては極めて許しがたいことだ。

 このように、米ロ双方が、お互いに強く意識し合っているのは間違いない。プーチン氏の大統領再就任からの1カ月で見えてきた外交路線は、規定通りともいえるが、国際情勢全般がきわめて流動的な今、両国の関係に注目しつつ、ロシアと中国や欧州の関係を追っていく必要があるだろう。

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