世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月14日

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 元々 NATOは、1.ドイツの軍事的脅威の復活阻止(Germans down)、2.ソ連の脅威に対する防衛(Russians out)、3.米国を欧州に繋ぎ止める(The U.S. in)という3つの主要目的を持っていました。その内、1.と2.は既に消滅ないしほぼ消滅しましたが、3.は厳然として残っています。米国識者の多くにとって民族的故地である欧州は引き続き最重要地域であり、米国が手を引いてしまえば欧州はバラバラになりやすく、それこそ「ドイツの脅威」が復活しかねません。

 また、ソ連は消滅したものの、バルト三国や旧東欧諸国(その多くはNATOに加盟した)にとり、ロシアは依然として安全保障上の脅威です。

 ただ、 NATOは冷戦終結とともにその存在意義を自問することとなり、ドイツが戦後のタブーを克服してアフガン派兵を行なうなど、「域外での活動」に活路を見出そうとしました。ところがこの「域外活動」は、論評も指摘するように、欧州側の不備を際立たせてしまい、今後、「域外活動」は見直されることになるでしょう。

 しかし、リーズは、NATOが「戦略的に重要なことをしていない」と言っていますが、現在の情勢ではNATOにとって戦略的に重要なことは特にないようにも思われます。いずれにしてもNATOは今後も存続するのであり、存続することがその最大の戦略的意味なのだとも言えます。

 日本は、アフガニスタンの民生・治安向上に加え、サイバー・テロ防御に関する恒常的な情報交換・開発協力等でNATOとの具体的な協力をさらに推進すべきでしょう。後者は、サイバー戦闘能力や核兵器を持たない日本にとって、今後益々重要な意味を持つようになります。

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