2024年4月20日(土)

故郷のメディアはいま

2012年6月20日

 宮城県には、コミュニティFM局が6局あり、東北で最も多い。前出の登米市のほか、塩竈市、岩沼市、石巻市、仙台市の若林区に泉区だ。けせんぬまさいがいFM局は気仙沼市が免許を受け、昨年の東日本大震災後に安否やライフライン等の生活情報を流し始めた。実際の運営は、NPO法人気仙沼まちづくりセンターが担っている。免許期間は来年の3月末までで、その後は同県で7局目のコミュニティFM局に生まれ変わる予定だ。

東北の“首都”としての役割

 さて宮城県仙台市は、東北6県のカナメとなっている105万都市である。ブロック紙河北新報は各県の県庁所在地に編集・販売の拠点となる総局を構え、テレビ東京系を除く民放テレビ4局(TBS系の東北放送はラジオとの兼営)は各県系列局を束ねる拠点局と位置づけられている。NHK仙台放送局も拠点放送局だ。仙台市はまた、メーカーから流通・サービス業各企業の“支店経済の街”でもある。

 東北の“首都”の役割を持つだけに、テレビ放送ではNHK・民放問わず、県域を超えて東北ブロック全域を意識した番組を編成・制作し続けてきた。

 たとえばテレビ朝日系東日本放送(KHB)の『東北ビジネス最前線』(毎週土曜日)は、「環境・エネルギー基地」「穀物から水産まであらゆる食糧の供給基地」「スマートグリッド等の新たな産業の集積基地」とさまざまな貌を持つ東北の産業・企業を多角的に取り上げてきた。

 2010年9月25日放送の第26回では、東北経済活性化の一翼を担っている映画ビジネスにフォーカスした。そこでは、『おくりびと』が山形県庄内地方にもたらした観光・地域経済への波及効果、韓国の人気俳優イ・ビョンホン主演のドラマ『アイリス』のロケが行われた秋田県に韓国からの観光客が急増中、仙台市が「仙台シネマ認定制度」を創設し仙台在住の人気作家・伊坂幸太郎原作の『重力ピエロ』『ゴールデンスランバー』の2作品が選定されたことなど、各県における映画ビジネスの現状が紹介された。

支店経済の街を逆手にとって

 また金曜日の19時~20時台をブロック枠としているNHKでは、『クローズアップ東北』『東北Z』を編成している。今年5月2日の『東北Z』では、「空飛ぶリンゴ」と題し、中国では高級果実に位置づけられているリンゴの新たなブランド「大紅栄」「ピンクレディ」を巡る青森県津軽地方と中国・侠西省の攻防戦をリポートした。


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