解体 ロシア外交

2012年6月29日

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 第三に、欧米への対抗の要素も大きいと思われる。ロシアと中国はシリアにおける欧米の武力介入に激しく反発をしているが、そもそも、中東政策において両国は、外国の軍事介入に関して繰り返し反対を表明してきた。

リビア介入と同じ轍を踏まないために

 その背景には、特に、2011年のリビアでの経験(失策)があると思われる。リビアに対する軍事介入は2011年3月に成立した国連安保理決議1973号を法的基盤としてなされた。もともとリビアに対する介入には及び腰だった中ロだったが、同決議の性格は、リビアの民間人の保護を求め、そのための必要な行動を国連加盟国に認めるものだとされていたため、中ロも拒否権を行使しなかったという経緯がある。

 だが、介入は大規模に行われ、民間人保護という目的を超え、結局、カダフィ政権が転覆するまで攻撃が続けられたのだった。それは、中ロにとってみれば、国連決議の前提を大幅に超えた介入であり、裏切られたと感じたことは間違いない。結果、ロシアは友好的関係にあったカダフィ政権を喪失した。また、ロシアは反体制派とは関係を構築していなかったため、リビアに影響を行使できなくなってしまったのである。

 同じ轍を踏まないためにも、そして大統領に再就任したばかりのプーチン氏は「強い大統領・強いロシア」を内外にアピールする必要があることからも、シリアでは欧米に妥協することなく、拠点を確保したいと考えていることは間違いない。

 このように、ロシアがシリアで強硬姿勢を維持しているのは、内政的配慮と、中東における拠点の維持と国際的な威信確保のためだといえる。

国際会議開催を主張するロシア

 それでは、ロシアはどのようにシリア問題に向き合おうとしているのだろうか。

 ロシアが模索しているのは平和的解決であり、そのために、国際会議を開催することを主張している。国際会議開催について、ロシアは、米中英仏ロの国連安全保障理事会常任理事国とトルコ、レバノンなどシリア周辺国、アラブ連盟などの参加に加え、シリアに影響力をもつイランも「絶対欠かせない」という立場だ。そして、実際に、6月13日にロシアのラブロフ外相はイランを訪問し、イランから協力の快諾も得たが、政治的に対立している米国はイランの参加に反対している。

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