世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月6日

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 FRB(連邦準備制度理事会)元議長のポール・ボルカー氏が、Project Syndicateのサイトに6月4日付で掲載された論説において、国際金融システムの再建について、為替市場の安定化が重要であると論じています。

 すなわち、1990年代に相次いだ金融危機の根底には国際的な金融混乱があり、2008年の危機では、そのことが一層顕著であった。米国とアジアの間での不均衡の持続は際立っている。こうした近年の経験からの教訓は、各国が経済政策について、より効果的に協調することを求めている。

 しかし、過去の失敗に基づいて構築されたアプローチでは効果が不十分であるとすれば、新たなアプローチが有望かもしれない。すなわち、主要国間で均衡レートにつき合意し、そこに上下の変動幅を見込んでおく。次いで、各国は為替市場介入と経済政策を動員し、均衡相場達成を目指そうとする。さらに、国際機関が相場を見張り、均衡から大きく外れたと見た場合、大々的な介入を主導してもよい。

 もうひとつの大きな課題は、適切な準備通貨と適正な国際流動性だ。これに対する現実的な解答はドル(プラスアルファ)だが、米国がツケをため込み続け、強い工業力を失い、消費の歯止めもなくなって、国際競争力を失ってしまう、というのでは米国の利益にならない。有用な準備通貨は、何よりも、その安定性と入手可能性への信頼が維持されなければならない。このことから、一国の、あるいは何カ国かの通貨を準備通貨とするのが実際的なのは明らかである、と論じています。

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 元FRB議長のポール・ボルカー氏は一時期あまり表に出なかったことがあり、氏との親交を結ぶ人もめっきり減っていましたが、リーマン危機後に銀行規制の新案を出すに当たって米政権から再び頼りにされるかたちで一種の復活を遂げ、元気なところを見せています。

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