2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月6日

 ボルカーは、リチャード・ニクソン元大統領が金ドル交換を停止した1971年8月の「ニクソンショック」の折、財務省の国際問題担当次官だった人物でもあります。その時以来、ボルカーは、折に触れ、システム全体に安定をもたらしていた旧ブレトン・ウッズ制度への郷愁を公にしています。そこで、本論説でも、ボルカーが最も主張したかったことは、主要国で目標相場圏を立て、協調介入によって実質的に固定相場を目指す、ということなのでしょう。

 論説の最後で、あるべき準備通貨について語っている部分は、行文がやや不明確ですが、要するに、ボルカーが望んでいるのは、ドル相場の安定=資本移動の安定で、これがあって初めて、米国は消費をコントロールしつつ、中長期的観点で製造業を育てて行くことができるようになり、そのように米国経済が安定すれば、ドルは依然として準備通貨であり続けるであろう、というロジックの流れと思われます。

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