2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月26日

 国家リスクと銀行リスクが悪循環している典型的な例が、現在のスペインで、銀行の不良債権問題がスペインの国債の利率の上昇を招き、それが銀行への救済融資をより困難にしています。こうした悪循環を断ち切るため、預金の保証、銀行の監督、銀行が破綻した場合の処理を統一的に行う金融同盟を創設することは、確かに、危機の軽減に貢献するでしょう。

 しかし、金融同盟ないし銀行同盟がユーロ危機の抜本対策になるとは考えられず、これによって得られると考えられる時間的猶予を利用して、財政同盟の樹立などのより抜本的な対策を目指す必要があります。しかし、銀行同盟の結成すらなかなかスムーズに行っておらず、まして、財政同盟となると、極めて遠い道のりです。世界経済は、ユーロ危機がもたらす影響を長期にわたって受けることを覚悟しなければならないと思われます。


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