世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月3日

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 ウイリー・ラム(国際教養大教授)が、7月1日付WSJに、「司令部に中国のタカ派」と題する論説を寄稿し、中国軍部の外交面での発言力が強まっていることを指摘しています。

 すなわち、中国共産党は攻撃的外交政策を展開し始めた。その背後には人民解放軍の外交政策における前例のない影響力がある。ほとんどの国で軍人は公に外交、安全保障政策について発言しない。中国でも鄧小平、江沢民、胡錦涛第1期の時にはそうであった。しかし2010年以降、軍のタカ派が公式メディアで戦闘的な言論を展開している。

 昨年末、その傾向は強まった。ヤン・イ副提督は鄧小平の低姿勢外交を放棄すべしと述べた。先月、国防大学のハン・シュウドン少将は拡張に反対するドクトリンを放棄し、拡張的政策を採用するように呼び掛けた。軍人たちは南シナ海での対決的アプローチをとるように勧め、中国の主張を疑問視する国を処罰するのに躊躇すべきではないとしている。

 海南島に西沙、南沙諸島を管轄する三沙市を設立するとの昨月の決定の背後にも人民解放軍がいる。これには外交当局は中国脅威論につながると反対してきた。昨年まで高名な学者が、軍人が外交政策に口出しすることを批判してきた。しかし2011年半ばから学者が将軍を批判することはなくなった。

 将軍たちの力が強まっているのは第18回党大会(10または11月)を控え、党指導部内で抗争があるからという面もある。軍は中央委員の20%を伝統的に占めてきた。党内派閥はその支持を得ようとする。

 習近平は党中央軍事委主席になるために人民解放軍内での支持固めをし、その代償として軍に外交政策での発言力を与えている。党は大会後外交政策での主導権を取り戻そうとするだろうが、ビンから出てきた民族主義をコントロールすることは難しい、と論じています。

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 中国の軍事的台頭については、「中国軍部の台頭」という視点が重要ですが、ラム氏のこの論説もそういう観点で書かれています。

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