2024年4月18日(木)

安保激変

2012年7月25日

 次に、日本が東アジア海洋フォーラムを東京で主催し、南シナ海問題と東シナ海問題を包括的に関係諸国が議論する場を設けるべきである。ASEANが主体となって中国と海洋問題を解決することはもはや期待できない。創設する海洋フォーラムは実務レベルで常時協議をし、折に触れて閣僚級会合も行う形式が望ましい。もちろん、ASEAN内部からも反発は出るだろうし、中国も反対するだろう。しかし、日本はアメリカと調整し、外交力を発揮して主導力を発揮するべきである。

“外交の秋”に向けて
残された時間はわずか

 最後に、日本は南シナ海問題への軍事的な関与も深めるべきである。日本政府はフィリピンへ巡視船の提供を検討し、ベトナムとも安全保障協力を深めようとしているが、ベトナムやフィリピンが単独で中国の強大な軍事力に対抗できるようになることはない。

 オバマ政権は「アジア重視」を掲げ、シンガポールへの最新鋭の沿岸戦闘艦の配備や、オーストラリアのダーウィン、グアム、フィリピンへの海兵隊分散配備を進めるなど、南シナ海をにらんだ戦力態勢に移行しつつある。自衛隊も、南シナ海でアメリカやASEAN諸国と協同でパトロールをし、とりわけ中国の潜水艦の活動を監視するべきである。

 域外国の日本が南シナ海でパトロールをすれば、中国は公然と異を唱えるだろう。しかし、南シナ海の公海部分をパトロールすることに国際法上何の問題もない。また、南シナ海で武力衝突が勃発すれば、日本には中立国として自国の船を守る権利が生じる。日本は南シナ海における正当な自国の権利を主張するべきである。

 11月には“外交の秋”を迎え、各国の首脳がカンボジアに集まりアジアの安全保障問題を議論する。残された時間は限られている。

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