2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月7日

 沖縄米軍の一部グアム引き揚げの兵力再編計画も、ラムズフェルドが訪日した際、沖縄県知事から「米軍は県民の負担だ」と言われて、「負担というならば出て行く」と決定したのが端緒です。ラムズフェルドの考え方は、「常駐なき日米安保」に繋がりかねないものでした。

 そして、ラムズフェルドは、最後には軍人たちの信望を失って、失脚したのです。

 それと対比して、最近のオバマのアジア回帰は正しいと言って、民主党支持の立場から、米軍の前方展開を支持し、引き揚げ論に反論しているのがこの論文です。

 ただ、オバマ大統領がそこまで、前方展開を支持しているかどうかはわかりません。むしろ前方展開も含めて、一般的には軍事力依存削減の思考ではないかと思われます。

 ヒラリー・クリントン国務長官は、2010年初頭以来、アジア復帰を、それがオバマ政権の一貫した方針だと言って主張し続けましたが、オバマがそれに乗って来たのはつい最近のことです。フロノイは、一貫してヒラリー・クリントン支持なので、思想的にも相許す仲なのでしょう。

 この論文は、元来、反軍、リベラル的な大統領を、現実主義路線に引き込むために、民主党系の現実主義者が苦心しているという構図を示しています。オバマが再選された場合の国務長官人事(ヒラリー・クリントンは続投しないことを明言している)が大いに注目されます。

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