世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月14日

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 7月11日付Project Syndicateで、Joseph S. Nyeハーバード大学教授(元米国防次官補)は、シェール・ガスの開発でアメリカのエネルギー需給は革命的に改善されるので、国際政治における米国の立場は従来よりもはるかに有利になる、と述べています。

 すなわち、1970年代初頭にニクソンはエネルギー自立を打ち出したが、石油危機とホメイニ革命を経たその十年後には、米国は石油の半分を輸入に依存し、その価格は15倍になっていた。ところが、その50年後の2023年には、米国が消費する石油の50%は米国産となり、米国は世界で最も安くエネルギーを得られるようになり、米国のエネルギー輸出が輸入を上回るようになる。その主な理由は、シェール・ガスであり、シェール・ガス産業は、2005-2010年に毎年45%成長し、アメリカのガス生産の4%から24%を占めるようになった。

 米国は今後一世紀以上、現在規模の生産を続けられる。中国では水不足、EUでは環境問題があって、シェール・ガス生産は上手く行かない。

 これは、現在はやりのアメリカ衰退論に反する状況である。もちろん、アメリカは今後とも、サウジアラビアの政変や、ホルムズ海峡の封鎖などの影響は受けるであろうが、国際政治におけるアメリカのバーゲニング・ポジションは強くなるだろう。

 今後米国の国際政治の焦点となる東アジアにおいては、中国は中東石油依存が大きくなり、石油ルートに対する米国の支配を意識する結果、米中の力関係にも影響を与えよう。

 米国は、エネルギー供給で完全な独立を獲得するわけではないが、国際間の力関係においては米国に有利な影響があろう、と述べています。

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 アメリカ衰退論に対する反論が、意外なところ――シェール・ガス――、意外な人――ジョゼフ・ナイ――から出てきた感があります。

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