経済の常識 VS 政策の非常識

2012年9月3日

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 今回復活したのはエコカー補助金と減税だけだが、09年4月の景気対策では省エネ型家電に対する補助金である家電エコポイントもあった。これらの補助金や減税は、2つの目的があった。1つは、CO2を削減することである。もう1つはリーマンショック後の不況に悩む経済を刺激し、景気を安定化することである。

 第1の目的を達成したかは怪しい。

 どちらも、大きなテレビや冷蔵庫や車はより多くのエコポイントや補助金がもらえた。すると、補助金は、より小さな家電製品や車からより大きなものに需要をシフトした可能性もある。もちろん、エコカー補助金の場合、軽自動車は7万円の補助、それ以外で10万円の補助だから、これくらいの差で軽から乗り換える人は少ないだろう。だから、大きな車への乗り換えを促進したとまで言えないかもしれないが、大型の車に手厚い補助金をつけることは制度の目的からしておかしいのは確かである。そもそも、この制度によってどれだけのCO2が削減できたのか、誰も検証していない。

景気の安定化に役立ったのか

自動車販売台数と鉱工業生産指数の推移(前年同期比)
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 第2の目的を達成したかはさらに怪しい。

 減税がなされ、補助金が支払われた時には確かに売行きが高まったのだが、それが終わると売行きが激減した。リーマンショック後の大不況期に家電や車が売れて、大不況から回復したらその売行きが鈍化して、全体として景気をならすというのが目的だったはずだが、そううまくはいっていない。

 景気がどう動くか分からないのに(リーマンショックからの回復過程で、ヨーロッパがこれほどの危機的状況になると予測したエコノミストはほとんどいない)、いつ、どのタイミングで補助金を配るかを決めるのは至難の業であるからだ。

 図は、自動車販売台数と鉱工業生産指数の前年同期比を示したものである。エコカー補助金が景気をならすものならば、全体の生産が落ちている時に自動車の販売が伸び、生産が伸びている時に自動車の販売が鈍化していなければならない。

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