2024年4月19日(金)

人事部必見! 御社の研修ここが足りない

2012年8月21日

 研修センターは設立して2年目。「試行錯誤の連続です。研修は手段であって目の前の技術を教えるだけでなく、マエカワの企業文化、事業への取り組み方を理解して実際の現場で生かしていけるようにすること。それを一方的に押し付けてもダメです。主体的に研修に取り組んでもらえるようにするのは、運営するわれわれが日々、研鑽していかなければいけない。それが1年目の反省でした」と研修センターの北昌策センター長はいう。

企業文化を体系化して伝えるということ

 実質の研修期間は1年。とらえようでは短い。無垢な新人たちにコンプレッサーの基本を教え、製造工程を学ばせるまではいいが、それ以上の知識の習得には新人たち一人ひとりの意識高揚が必要になるからだ。「時代的背景もあるのでしょうが、入社することだけを考えてきた新入社員が多いと感じています。すでに目標達成してしまった彼らに、新たな目的意識を持たせることが研修なのか悩みました」と安達さん。

 30年以上のベテランが技術を教えるのは問題ないが、コンプレッサーだけを買ってくれる顧客など皆無。前川製作所の発展は、顧客のニーズに応える形で新しい市場を開拓してきただけに、この企業文化とそれに対応できるスキルの一端は体得してもらわなければならない。

 前川製作所の新人研修は、始まったばかり。成果が見えてくるまで10年単位の歳月が必要だろう。ベテランの講師陣が教える技術は、時代とともに劣化するかもしれないが、技術に裏付けられた顧客対応力は不変だ。それをOJTによる体得から研修へと切り替えた。企業文化を体系化して伝えることは難しい。そこに明確な方程式が存在しないからだ。

■教えて教わることも多い研修
研修センター 北 昌策 センター長 

北昌策センター長 (撮影:著者)

われわれの常識は新入社員には非常識。こんなことを研修センター開設直後に度々感じさせられました。それを“超常識”などとして押し込んでしまえば、もっとも必要な考える力を削いでしまうだけではないか。そこでアプローチの仕方を工夫したのが今年度の対応です。暖簾に腕押し状態から少しずつ手応えを感じ始めています。教えることで教わっているともいえます。

早く中堅技術者に育ってもらい海外で活躍してほしい。私自身、欧州に長く赴任していたので実感があるのですが、海外拠点では近隣地域の拠点や本社、工場との協力関係が不可避です。その時、3年間同じ寮で寝食をともにした仲間がいれば、より強力な連携がとれるはず。それがマエカワ流のやり方です。

また、研修を体系化したことで製造部門での現場研修を製造ラインの責任者に任せますが、人を育てるのが上長の責任という意識も受け入れ側に芽生えるなど、相乗効果も出始めています。高卒も学卒も院卒も混ぜた研修は、他社ではないかもしれません。基礎となる部分は同じ。院卒だからといって早くステップアップしても、ここでの学びを見につけなければ、マエカワでは役立てないと思うからです。

まだ課題だらけですが、研修スケジュールも講師陣の体制も含め、よりよい研修スタイルの確立に向けて取り組んでいきたい。

 
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