2024年4月25日(木)

Wedge REPORT

2012年8月21日

生コンプラント分の代金を先払いしてもらう

 APEC関連の建設工事には、ロシア政府の意向でなるべく外国企業には参入させず、「メイド・イン・ロシア」ですることとされた。そのため金角湾横断橋の建設工事でも、會澤高圧コンクリートは、日本国内で製造した生コンを納入するのではなく、現地調達した材料をもとに現地で生コンを生産しなくてはならなくなった。そのために、まずウラジオストク近郊の沿海地方一帯で材料に適した砂を探してまわり、続いてイタリア製のモバイル型の生コンプラントを橋の建設現場近くなどに持ち込み、設置することにした。

 生コンプラントは1基・数億円もする。設置したはいいものの、万が一のことを考えなくてはならない。過去には道内の企業がサハリンで合弁でホテル経営に乗り出したものの、合弁相手に乗っ取られてしまうというトラブルもあった。そうしたリスクを避けるために取ったのが、プラント分の代金を設置前に支払ってもらうという方法だ。

 「なにもないところに最初に乗り込んで作業を始めるのが我々生コン屋なのです。ただ、海外でビジネスをするからには、リスクを十分に想定しておくことが欠かせない」(會澤社長)。

 建設工事が始まってからは、日本から入れ替わりで20人の社員を投入。金角湾横断橋の建設はロシアの国家的プロジェクトに位置づけられ、街のシンボルともなるものだけに、納入する生コンの品質管理には細心の注意を払ったという。「コストでは中国に勝てない。スピードでは韓国に勝てない。そうであれば、ひとつひとつの仕事をきっちりこなすことで信用を得ていくしかない」(會澤社長)。

日本車人気で損害車も売上増

 交通事故などでダメージを受けて廃車となる自動車の台数は日本国内で年間300万台にも上る。ダメージを受けた損害車といっても十分に修理をすれば動かすのに問題ない車も多い。さいたま市に本社があるTAUは、こうした損害車をディーラーや損害保険会社などから買い取り、海外に輸出する事業を行っている。なかでもロシアは主要輸出先のひとつだ。

ウラジオストクにある中古車市場「グリーンコーナー」。

 ロシア極東では1990年代以降、日本の中古車の輸入が盛んになり、性能の良さからロシア製の車を圧倒。90%以上のシェアを占めるまでになっている。こうした日本車人気を受けてTAUも好調にロシア向けに損害車を輸出。08年のピーク時は月間1000台に上っていたという。


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