2024年4月20日(土)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2012年9月4日

5回目のインドの後で
見つかったガン

 4回目は23年後の2007年である。長年勤めた商社を退職して同時に結婚33周年の記念の旅であった。

 5回目の今回の目的は、純粋にビジネスが目的だったが、インドから帰国して体の調子が悪くなり、調べてみると前立腺ガンが見つかった。私の場合は、人生の転機になるとインドに旅する巡り合わせになっているようだ。

 医者からの告知は随分とストレートなものだったが、淡々とした態度で聞くことができた。「ああ、そうか、治さんといかんな」といった程度の驚きであった。

 というのも、インドから帰ってくると、何に関しても「まだインドの現実よりましかなあ」という気分になるからだ。これまでも、天地が引っくり返るような大事件を経験したことがあるし、日本は国として今そのような最中にあるが、インドを回っていると「これ以上酷いものはない」といつも思わされる。

 インドは20年には中国を抜いて世界一の人口になるといわれているように、今のムンバイやコルカタ、ニューデリーは、表面的には20年前の中国を彷彿とさせる。しかし、過去40年間、本質的な変化は何もないように見える。毎回、訪問するブッダガヤの大塔も昔と何も変わらない。むしろ、変わってしまったのは自分の方である。インドは「自分の写し鏡」のような所がある。

 今回のインドの旅は人生の転機になるような予感がする。前立腺ガンも無事退治でき、新たな挑戦に胸がときめいている。

◆WEDGE2012年9月号より

 

 

 

 

 

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